「猫にかまけて」(町田康)

読んだ本ま行
 
猫にかまけて
町田 康



講談社 2004-11-16
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うわーーっ!
猫好きにはたまらん。
ところどころに入った猫の写真が、すーんごくいい感じだ。
写真を見ただけでも癒される。
猫好きでなくても、町田康独特の書き方が楽しめるのではないだろうか。
猫好きだとその面白さが何倍にもふくれあがる。
「猫派か犬派か」というのは、よく議論されることであるが、あらためてわかったことは、
「私はやっぱり猫派であった」ということだ。

その伝でいうと、犬、猫というのは、動物界というかペット界にあって実にもう好敵手で、人々は犬派、猫派に分かれ、学校、職場、酒場、食堂などでそれぞれの美点、欠点を言い立てるなどして日々、激論を闘わしている。
しかしこれは永久に決着の付かぬ議論であって、なんとなれば犬派があげつらう猫の欠点はすなわち猫派にとっての美点であり、また猫派がいいたてる犬の欠点はすなわち犬派にとって愛すべき犬の性質であるからである。
例えば、

この後、犬語と猫語を日本語に書いてあるのだが、これが面白い。
そして、2頭(!)の猫の死の様子が出てくる。
ヘッケが死んだときの場面には、何といったらいいのだろうか。
猫というのは人の見えない所へ行って死ぬというが、そうする体力もなかったヘッケ。
聞いたこともないような声で一声なき、立ち上がって30センチほど向こうへ跳びそのまま動かなくなる。
まるで、向こう側の世界にとび移ったという感じだ。
猫のために、猫用プロポリスやらオゾン発生装置やら猫用サプリメントやら猫用イオン飲料やらマイナスイオンやらBS酵素とかやらを通信販売などで取り寄せる。
愛・愛・愛。
猫の嫌なことをなかったことにするという秘法というのが面白い。
それを本当にマネしてみる町田康氏もスゴイ。
この本によれば、ココアという猫は、前に町田氏の何かの本で読んだ、結婚する女性の家に行ったときに家にいた猫で、結婚したときに一緒についてきたというあの猫なのだろうか。
この猫たち、自分の一生とかが本になって、なんて幸せな猫なのだろう。