本日の読書

utao2004-10-25

博士の愛した数式 」(小川洋子
読んだ本あ行
  

博士の愛した数式

博士の愛した数式

 
有名なので題名はよく聞いていたが、実をいうと小説だとは思っていなかったのだ。わはは。
題名だけ見て、なんか数学かなんかの難しい本だと思っていた。そんな難しい本だったらこんなに売れるわけないのだから、気付けばよさそうなもんだけど。
実物の本を手にして初めて「小説だったのかぁ」と気付く。あら。おめでとうございます。
小川洋子さんという人の本も読んだことなかった。知らなかった。
なんか同姓同名の人が日本全国にいっぱいいそうな名前。
ああ。この本、小説だと気付いて読んで本当によかった。
なんと味のある、心にじわっとくる物語なのだろう。
数字が愛おしく思えてくる。
何ヶ月か前、「オイラーの公式」というキーワードをはてなでみつけて、「オイラの公式」かと思っていたが、この本に「オイラーの公式」が出てきてビックリ。
ていうか、この本に出てくるから、はてなのキーワードにもなっていたのか。
知っている人には有名なのかもしれないが、私はそんなものがあること初めて知った。
数学の難しいことは、簡単そうに書いてあってもわからないが、読んでいると、そんな難しい数学にも愛着がわいてくる。

文章題であれ単純な計算であれ、博士はまず問題を音読させることからはじめた。
「問題にはリズムがあるからね。音楽と同じだよ。口に出してそのリズムに乗っかれば、問題の全体を眺めることができるし、落し穴が隠れていそうな怪しい場所の見当も、つくようになる」

算数の問題を音読することでみえてくるもの。思いもよらなかった。(ここでは10歳の息子の算数の宿題)

どれもこれも、ただひたすらに数学だった。これが自分と同じ人間の共有物だとは、とても信じられなかった。ここにある一ページ一ページが、宇宙の秘密を解く設計図なのだろうか。神様の手帳を、書き写したものなのだろうか。
私のイメージの中では、宇宙の創造主は、どこか遠い空の果てでレース編みをしている。どんなか弱い光でも通す、上等の糸で編まれるレースだ。図案は主の頭の中だけにあり、誰もパターンを横取りできないし、次に現われる模様を予測もできない。編み棒は休みなく動き続ける。レースはどこまでものびてゆき、波打ち、風にそよぐ。・・・

数学とは宇宙だったのか。詩だったのか。なんという美しさ。