本日の読書

utao2004-09-21

爆発道祖神」(町田康
読んだ本ま行
 

爆発道祖神
町田 康

発売日 2002/07
売り上げランキング 30,794

Amazonで詳しく見る4048837273
ASIN:4048837273

斎藤孝のおすすめブックナビ 絶対感動本50で紹介されていた本。
小説かと思っていたら、エッセイ(?)みたいだった。小説の棚にないはずだ。
町田康さんていう人知らなくて、今初めて読んだ。
これ面白い。最高。こんなに面白いとは思わなかった。この人天才かも。
これこそ、「声に出して読みたい日本語」だ。
じゅげむとか雨ニモマケズとかなんかよりもかなり面白い。
いやしかし、小学校やら幼稚園とかで暗誦されても困るかもしれないけど。
写真と文章の組み合わせか。それがまた面白い。
写真/町田 康 となっているけど、ときどき出てくる男性はいったい誰なのだろう。
自分?
写真を撮っている男性を撮った写真もある。
しかし、この本を読んでいると、自分の書く文章なんて恥ずかしくて恥ずかしくて。ここでこう書いているのも恥ずかしくなる。本当に素晴らしい。
と思ったら町田康さんて芥川賞作家だったのか。知らんかった。もっとベンキョしとこう。
ここに書いてあることが本当のことなのか作り事なのかわからなくなる。
しかし、そんなことはどうでもいい。素晴らしすぎる。これぞ日本語!
美しい日本語! これぞ世界に誇れる言語だ!
小説もぜひとも読んでみなくては。
「空に世間、俺なんか居場所ねぇぜ、てって嘆ずるか」より

甚だしい者にいたっては、忙しいということをまるで無関係な他人にもアッピールするために、大枚をはたいて携帯用の通信機器を購入し、新幹線の中などでエレキにて郵便を送ったりするくらいである。
・・・(略)・・・
しかしながら世間は修羅。みんな醤油とかそんなんじゃなくて、何百億・何千億にかかわる用事を抱えている。自分は、自分なんかより遥かに忙しげなおばはんやBGに突き飛ばされ翻弄され、侮られまくって終わりだよ。数珠つなぎになって極寒の網走だよ。じゃぶじゃぶの病犬。

「俺が何屋か。それがおまえに分かるか? 俺の苦しみが」より

そこで、わたしは別の企画を立てた。鍋に関する企画である。ひとくちに鍋といってもいろいろある。中華鍋、土鍋、行平鍋、慈善鍋。しかし、どれもいまひとつインパクトに欠けるというか、客に対する主張力がどうも弱いように思うのである。わたしはたいていの家庭に圧力鍋というものがあることに着目、これを改良した、脱力鍋というものができないだろうか、と考えて立ち上がった。
脱力鍋。すなわち、もう見るからに力が抜けたような鍋。みているとむかむかと腹がたってくる、ぜんたいおまえはやる気があるのか? くにゃくにゃやないか。怒りのうちに材料をぶち込み、火にかける。ところが、この脱力鍋ときたら、もう力が抜けてしまっていて、横腹や尻から水を漏らして、・・・

もう、どれこれといわずに面白い。
気になった写真が上の画像。
これ、町田氏が言うところの「説教芸人」らしいが、もしかしてジャグリングしてるのかな?
クラブジャグリング。よく見ると前のほうにティアボロとかいうものが置いてある。
この写真も面白い。
説教芸人が説教芸を演じている前で、市民ふたりが時局の話をしていたらしい。

・・・と、賑やかな説教芸が喧しい前で、「政府が位牌の無料配布を始めたらしいぜ」「現場では易者の公開処刑も始まったらしいわよ」・・・(略)・・・といった、新聞にまるで載っていない秘密情報を交換する市民がいて、かれらはなにか特別の情報源を持っているのであろうか、と思ったわたしは、・・・

最高です。コレ。
大道芸を見にきたフリをして、新聞に載っていない秘密情報を交換するおばはん二人。