本日の読書

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「百円シンガー極楽天使」(末永直海
読んだ本さ行
 

百円シンガー極楽天使 (新潮文庫)

百円シンガー極楽天使 (新潮文庫)

(文庫)
 
こんなに時間をかけて、かみしめながら読んだ本はあっただろうか。
ヘルスセンターなどをドサ廻りする百円シンガー演歌歌手「夏月(かづき)リンカ」。
キャッチフレーズは、

可愛くって、ゴメンなさい!
「手のり」サイズのさえずり娘デビュー!
キンクレコード・夏月リンカ
演歌ひと筋、九州っ子!

町田康さんの、「つるつるの壷」で、この本のことが書かれていて、ぜひ読んでみたいと思い読んだのだが、本当に面白い。(11/12参照)
2ページごと以内に笑える。
演歌好きにはたまらなくいい!
歌に恋してる。歌と交わる。
ホステスや演歌歌手を経験してきた著者でなければ書けないことも多いと思う。
帯に「自伝的長編小説」と書かれているけど、やっぱりこんなだったのだろうか。
著者の写真をしげしげと見てそうかなと思ってしまう。可愛くて小さそうで、本当に「手のりサイズ」みたいだし。
「無事あや子」のポスターには大爆笑。

「はやいヒトきらい! イヤン! 全国交通安全キャンペーン曲『ゆっくりすすんで』ボリドールレコード発売、B面『まっすぐ見つめて』トラッカー協会推薦曲! 早くもヒットチャート急上昇中! ドライバーの安全を祈ってます!」

藤あや子じゃなくて無事(ぶじ)あや子。

毎日が「そんな阿呆な」の世界。すべてが無法地帯の中で、私は考える。こいつらは、誰にも望まれていないのに無理矢理歌っている「勝手歌手」なのだ。

ニセ演歌歌手「夏月リンカ」の実際の年齢は34歳だが、ステージ年齢は、最初26歳だったが、24歳になり22歳になってついには。
このまま人気出てデビューしたらやっぱりそのままの年齢を通さないといけないから大変だろうなあ。
芸能人の年齢なんてホントあやしいもんだ。
私もやっぱり18歳にしとこう。永遠の十八歳。
でも夏月リンカがメジャーデビューしそうになったときはドキドキした。
ずっと夏月リンカを応援していたかった。
私だけの夏月リンカでいてほしかった。
本を読み終えるのがもったいなかった。
また、こういうの書いてくれないかなあ。
大好き。夏月リンカ。
映画、とまではいかなくてもドラマで観てみたい。
ってもうすでになっているのだろうか。1997年の本だし。